空の向こうにいけば、人間になれる-。
はじめに
このブログはネタバレしかしていません
このブログは個人の感想です
去年発売されたkeyの作品!多分今までやったなかで1番新しい作品!ほら...お金ないから...500円セールで生きてるから...
keyのロープライス作品はLOOPERSに続いて2作目になります。LOOPERSもそうでしたがキネティックノベルという新たなジャンルを開拓されているkeyさんの作品は今後もやりたいなあって思ってます。なんか締めの感じだけどここからが感想です。
作品紹介
ブランド:key
発売年:2022年
CG枚数:97枚
音楽数:Vo曲3曲&BGM27曲
プレイ時間:8h51min
推奨攻略順:一本道
受賞歴
萌えゲーアワード2022シナリオ賞
美少女ゲーム大賞2022総合部門6位
同大賞シナリオ部門4位
同大賞ミュージック部門6位
評価
89/100
・キャラ 26/30
ジュード
現実主義なプロの運び屋。運び屋って何?って最初なった。多分俺だけじゃない、はず。まあちゃんと運び屋という職がなんなのかは解説されるので大丈夫ですが。最初は冷静な仕事人間のように思えたジュードがだんだん人間的な苦悩と過去で板挟みになっていることが分かったり人間味があって好感が持てる人物です(人間として厚みがあるキャラほどそんな数行で語れるわけないんだよ言葉にするの難しいよ)。定番(?)じゃないところで好きなセリフは「それで自分が思っていたほど、強い人間じゃないとわかった。」とても人間的で好きです。
フィリア
人間になりたい少女型アンドロイド。最初ははっきり言って足を引っ張ることが多かったフィリアが成長していき、最後にはジュートを引っ張っていてよかったです。人間じゃないからこその異質さ、のようなものをセリフの端々に感じたのも好きなところ。色々好きなところはあるのだけどやはりかわいい!というのが1番大きい!かわいい!子供のようなかわいさ!微笑ましい!
・シナリオ 25/30
短いながらもよく纏められ緩急や山場もしっかりある完成されたシナリオ。隙がない、という表現がこれほど似合う作品もないのではと思うくらい粗を感じさせなかった。ともすれば退屈になりそうなジュードとフィリアの関係性の進展を廃墟都市などの緩急で退屈させず、中盤からは怒涛の展開で息付く暇を与えなかった。ずっと面白いが続いていた。ウィレムの計画やAIが人類を支援しない理由等色々予想しながら進めていたのですが人類が人類の遺伝的定義から外れていた、というのは完全に虚をつかれましたし綺麗に納得させられました。そして最後の山場はちゃんと泣かせに来る。創作物で泣いたことは無いのですが今までで1番泣きそうになったかもしれない。
・CG/音楽 30/30
めちゃくちゃきれい!SWAVさんという方が書いているのですが今後も色んな作品に携わって欲しい!と思わず言いたくなるクオリティ。あまりギャルゲエロゲでは見ないタイプの絵柄だけどそれが退廃的な世界観にマッチしている。
量もこの値段では考えられない程多く背景も少ししか出ない場所までしっかりと作りこんである。質量共に文句のつけようもない。
音楽もkeyの面目躍如と素晴らしい楽曲が多い。OPEDは言わずもがな、挿入歌も流れるタイミング含めて満点以上のものだった。個人的にはEDの「Ortus」が大好きでずっと聞いてる。BGMもCG同様質量共に文句のつけようもなく、「Shadow of the Almighty」や「Yearning for my F/D」、OrtusのBGM版?が好きです。「Vast Forests」なんかも好き。ていうか全体的に好き。
・特色 10/10
未来の退廃的世界観がSWAVさんの絵柄やロミオさんの地の文によって支えられてそこにちゃんと存在していました。
・不満点 -2/-10
クリムゾンアイの最後やウィレムとの決着が少しあっさりすぎる気がした。もちろんジュードとフィリアがメインである以上あんまり叙情的になる必要は無いが個人的にウィレムがとても好きなキャラなのでもう少し見たかったというのが本音。
総評
完璧に限りなく近い作品。作品にもステータスをつけるとしたら全てがAみたいな。セリフの端々に今生きている人に言われているような、気づかされるようなセリフがあってそれがとても好きです。例を挙げるなら「この世の中って、人を助けようとすると、絶対失敗するようにできてるのかな?」「答えになるかは分からんが、人助けには不向きな時代なのは確かだぞ」とか。あとシナリオのとこでも少し触れたんですが構成の妙というか、構成がとても上手だな、と。小さい山場で飽きさせないようにして最後にズドン!って来るの基本的な事ですが言うは易し行うは難しな典型だと思うんで。こんな素晴らしいシナリオを書いた田中ロミオさんのシナリオをもっとやりたいしこんな素晴らしい絵を書いたSWAVさんはもっとノベルゲームの原画やってほしいし、これ以上書くと長くなるのでとにかくこの作品に携わった全ての人に感謝を!